クローブ

●英名:Clove
●和名:丁子(ちょうじ)
●中国名:丁香、百里香
●学名:Syzygium aromaticum Merrill et Perry
●科名:フトモモ科の常緑樹
●原産地:モルッカ諸島(インドネシア)
●主産地:インドネシア、マレーシア、インド、スリランカ、南アメリカ、タンザニア、西インド諸島など
 クギの形にも似た、ユニークな形のスパイスである。クローブという名前も、フランス語のクギClouに由来し、和名の「丁子」もクローブの形からつけられている。
 クローブの木は、熱帯の常緑樹で、樹高10メートルにも達する。花のつぼみをスパイスとして使用する。
 エキゾチックな強い香りのスパイスだが、日本への渡来はかなり古く、正倉院の御物の中にも見られる。また、丁子の油を刀のサビ止めに使ったり、江戸時代には丁子油をびんつけの香油として用いていた。
 クローブは世界各地の料理に使われているスパイスの一つであるが、料理以外の用途も数多くある。

クローブの香味

 刺激的かつ清々しい芳香であるが、甘いバニラ様の香味もある。つぼみを乾燥させることで芳香が格段に強まる。中国では、百里も遠く離れていても香気が感じられるということから、「百里香」とも呼ばれている。
 この香味の主成分はオイゲノールであり、香りづけだけでなく、肉の矯臭効果も高い。

クローブの利用法

■香りが強いため、使い方(量)を誤ると、薬臭い料理になってしまう。適量を他のスパイスとブレンドしたり、加熱により香りを弱めることによって、上手く使いこなすことができる。クローブ単独の匂いは好き嫌いがあるが、実は日本人には縁の深いスパイスで、クローブの芳香はウスターソースやとんかつソースの主要成分なのである。
■一般的には、肉料理の臭み消しと風味づけに使われる。ミートソースやハンバーグなどの挽き肉料理には、シナモン、ナツメグなどとともにクローブのパウダーを練り込むとよい。
 また、ポークの固まり肉やハムの表面にプツプツと穴を開け、その穴にクローブのホウルを刺し込みオーブンで焼く方法もある。加熱することによってクローブの臭みは消え、芳香だけを楽しむことができる。ここで注意することは、クローブを直接食べないこと。
■バニラエッセンスとともに焼き菓子に使用すると、甘いバニラ様の香りが生きてくる。バニラは加熱すると香りが弱くなるのだが、クローブの粉末を少しだけ生地に練り込むと、互いの香りを引き立てる相乗効果を発揮する。
■クローブのホウルを、焼きりんごに1〜2本刺したり、オレンジ、レモンなどの果物に刺して、これらをカクテルや紅茶などに添えて香りを楽しむのもよい。

クローブの薬効

■芳香成分のオイゲノールには抗菌性があり、ブルセラ菌、マイコバクテリウム菌(結核菌・鳥型)などに対して有効である。また、オイゲノールには未梢神経を麻痺させる作用があるため、歯痛止めや口臭予防として歯磨きなどに精油が使用される。
■急性腸カタルや腹痛などお腹の薬として広く用いられている。また、胃を温め、しゃっくり、嘔吐、胃痛などを治すといわれている。

クローブの栽培

■クローブの栽培地は海抜800〜900m以下で、年間降雨量が約2500ミリの熱帯に限られる。種をまいてから苗木に育つまで約2年かかり、苗木を植えつけてから収穫までに7〜8年もかかる。しかし、収穫量は年ごとに増え、20〜25年で最大量となる。
■クローブの収穫は年2回行われる。つぼみがピンク色に染まり、長さが約2cmほどになってから始める。つぼみが開いてしまうと香味が変わり、スパイスとしての価値はなくなる。収穫されたクローブは、4、5日間天日乾燥する。1回の収穫で1本の木から平均して4kgとれるが、乾燥させるとはじめの重量の約3分の1になる。

クローブのエピソード

 現在、世界で最もクローブを消費しているのはインドネシアである。19世紀後半、中部ジャワの喫煙家によって手巻き煙草にクローブを混ぜ合わせることが考案された。このクローブ煙草(別名、ガラム煙草)は、燃えるにつれパチパチと音がするので「クレテック」と呼ばれている。この煙草は今もなおインドネシアでは非常に人気が高く、全世界のクローブ生産量の約半分はこれに消費されている。インドネシアは、クローブの主要生産国であるが、大量輸入国でもある。

クローブとカレー料理

 クローブは、主に肉の臭い消しとしての効果が高いため、肉を使うカレー料理には頻繁に使われている。臭い消しだけでなく、バニラ系の甘い香りは、風味付けにも一役かっている。
 クローブの芳香成分であるオイゲノールには、抗菌および熱帯性の感染症に最適な抗ウィルス作用がある。近頃の日本は、夏は亜熱帯的な暑さで冬は暖冬であるため、この効果は実に嬉しい。
 また、クローブにはコレステロールを低下させ、インスリン機能を促進させる効果があることが明らかになった。つまり、血液を美しくしてくれるのである。
 カレーのおいしさは、私たちに幸せと満足感を与えてくれる。おいしい料理は山ほどあるが、カレーのように毎日食べても食べ飽きない料理はそうはない。どうやらカレーには“不思議な魔力”がありそうだ。